保育の現場では、子どもたちの体や「男の子と女の子のちがい」への興味が、日常の中で自然に出てきます
僕は、こうした場面で大人がどう向き合うかが、子どもたちの安心につながると感じています
この記事では、保育現場での「性」のお話について、わかりやすくまとめてみます。
なぜ保育現場で「性」の話が必要なのか
子どもは、自分の体や友だちの体に興味を持つものです
オムツ替えのとき、着替えのとき、プールのときなど、体のことに気づく瞬間はたくさんあります
こうした興味を「ダメ」と抑え込むのではなく、やさしく伝えることが、子ども自身の体を大切にする気持ちを育てます
最近では、警察の発表で、未就学児への性被害の報告件数が過去15年で最も多くなったというデータもあります。 知識のない子どもは、危険に気づきにくいという指摘も出ています
「自分の体は大切なもの」「いやなときは『いや』と言っていい」と早めに伝えることが、子どもを守る一歩になります
また、2026年12月には「こども性暴力防止法」が施行される予定です
保育や教育の現場では、子どもへの啓発も求められる流れになっています
子どもたちの自然な興味と行動の例
保育現場では、次のような場面がよく見られます
- 友だち同士で「見せ合い」をする
- 先生や友だちの体に触ろうとする
- 「どうして男の子と女の子でちがうの?」「赤ちゃんはどうやって生まれるの?」と質問する
- 自分の大事なところを触っている
ある調査では、保育に関わる人の約7割が、こうした園児の行動を見たことがあると答えています
同じくらいの割合で、園児からプライベートゾーンを触られた経験もあるそうです
こうした行動は、悪いことではなく、体への興味の表れです
叱るのではなく、「ここは大事なところだから、自分で大切にしようね」「ほかの人の大事なところも触らないよ」と、落ち着いて伝えるのがポイントです
たとえば「先生は急に触られるとびっくりするよ。大事な体だからね」と伝えると、子どもも「大事なんだ」と理解しやすくなります
保育現場での取り組みと最新の動き
最近は、幼稚園や保育園で「プライベートゾーン」をテーマにしたワークショップが増えています
助産師さんが絵本やアニメを使って、4〜6歳の子どもたちに「水着で隠れるところは自分だけの大切なもの」と伝える例もあります
保護者向けには「学ぶことは汚いことではない」と説明し、子どもが安心して質問できる雰囲気づくりを大切にしているそうです
保護者の意識も変化しています
ある調査では、保護者の9割以上が「幼児期の性教育は大切」と考え、7割以上が「保育園でも必要」と答えています
開始時期として「3歳頃から」を挙げる人も少なくありません
一方で、家庭で実際に話している家庭はまだ少ないという結果もあります
保育士の側では、養成校で幼児期の性教育を学ぶ機会がほとんどなかったという人も多く、「働き始めてから学んでおけばよかった」と感じる声が8割を超える調査もあります
現場のニーズは高まっているのに、学びの場が追いついていない状況が続いているようです
慎重な意見や逆張りの声も
もちろん、すべての人が早期の性教育に賛成しているわけではありません
「まだ早い」「寝た子を起こすことにならないか」という心配の声は根強く残っています
学校の学習指導要領には、性交や妊娠の経過を扱わないという「歯止め規定」があり、教育現場全体で慎重な姿勢が続いています
「性について教えると、かえって興味を刺激するのでは」という意見もあります
ただ、国際的な研究では、適切な知識を早い段階から伝えたほうが、むしろ安全な行動につながりやすいという報告が多いです
「教えないことがリスクを高める」という見方も、徐々に広がっています
大事なのは、年齢や発達に合わせた伝え方です
幼児期では、詳しい生殖の仕組みまで踏み込む必要はありません
「体は自分のもの」「いやなことはいやと言っていい」「困ったら信頼できる大人に話す」というシンプルなメッセージから始めるのが現実的です
大人としてできること
保育現場でも家庭でも、まずは大人が落ち着いて受け止めることが大切です。 子どもが質問してきたら、恥ずかしがらずに、わかる範囲で答えてあげましょう
「わからないから調べてみよう」と一緒に考える姿勢もいいです
プライベートゾーンの話は、プールや着替えのタイミングで自然に取り入れやすいです
「ここは水着で隠すところだよ。自分だけの大事な場所だからね」と伝えるだけでも十分です
いやなときは「いや!」と言う練習をしておくと、いざというときに役立ちます。
園全体で共通の考え方を持つこともポイントです。 職員同士で「どう声をかけるか」を話し合っておくと、対応がぶれにくくなります
保護者とも「こういう話をしています」と共有しておくと、家庭との連携がスムーズになります
まとめ
保育現場での「性」のお話は、特別なことではなく、子どもたちの日常の延長線上にあります
興味を持ったタイミングで、やさしく、正確に伝えることが、子ども自身の体を守る力につながります
最新のデータでは、現場の必要性と保護者の期待は高まっている一方で、大人の学びや制度の整備はまだ追いついていない部分もあります
「早いから教えない」のではなく、「子どもが理解できる形で伝える」という視点が、これからの保育には欠かせないと感じます
子どもたちが安心して自分の体を大切にできる環境を、大人みんなでつくっていけたらと思います



